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デジタコ(デジタル式運行記録計)で、運転の何が記録されるのか。デジタコという言葉だけでは、何が記録され、会社がそれをどう使うかまでは分かりません。この記事では、法令で記録が決まっているものと、そうでないものを分けて整理しました。根拠は国土交通省の資料と、e-Govの法令本文です。
先に結論です。貨物自動車運送事業輸送安全規則9条で、運行記録計による記録が義務になっているのは瞬間速度・運行距離・運行時間の3つで、記録は1年間保存します[1]。対象は車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の事業用トラックなどです[1]。動態管理・配送管理・安全運転指導・勤怠時間管理は、国土交通省の資料で法定三要素に加えた付加機能として扱われています[4]。
結論:デジタコでわかることは「法定の3つ」と「付加機能」に分けて考える
- 規則9条の対象の車で必ず記録するのは3つ:瞬間速度・運行距離・運行時間です。記録の保存期間は1年間です[1]。
- 業務記録(日報)の項目もデジタコで記録できる:運転者名や業務の開始・終了の地点と日時などの業務記録は、運行記録計で記録することもできます。その場合、運行記録計で記録されない事項は運転者が付記します[1]。
- 付加機能は法定三要素以外の機能:動態管理・配送管理・安全運転指導・勤怠時間管理は、国土交通省の資料で法定三要素に加えた付加機能として挙げられています[4]。どの機能を使っているかは、会社に確かめる必要があります。
デジタコに記録される内容:法令で決まっているもの・決まっていないもの
表1は、貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下、規則)の8条・9条・17条と、国土交通省の検討会資料をもとに整理したものです。
表1:デジタコ(運行記録計)と記録の関係(出典:貨物自動車運送事業輸送安全規則[1]、国土交通省 検討会資料[4])
| 区分 | 記録する内容 | 根拠 | ドライバーとの関係 |
|---|---|---|---|
| 必ず記録(法定三要素) | 瞬間速度・運行距離・運行時間 | 規則9条 | 運行記録計で記録し、記録は1年間保存 |
| 業務記録 | 運転者等の氏名、車両の登録番号など、業務の開始・終了の地点と日時、主な経過地点、業務に従事した距離、休憩・睡眠の地点と日時 など | 規則8条1項 | 運転者等ごとに記録し、1年間保存。運行記録計で記録することもできる |
| 業務記録(荷待ち・荷役) | 荷主の都合で待機した場合の地点・到着日時・荷役作業の開始と終了の日時など、荷役作業等を実施した場合の地点・開始と終了の日時・内容など(荷主との契約書に荷役作業等の全てが明記されている場合は、要した時間が1時間以上のときに限る) | 規則8条1項7号・8号 | 2025年4月1日から全車両が対象[5] |
| 運行記録計で記録した場合の付記 | 業務記録のうち、運行記録計で記録されない事項 | 規則8条2項・17条6号 | 運転者が運行記録計の記録に付記する |
| 付加機能 | 動態管理・配送管理・安全運転指導・勤怠時間管理 など | 国土交通省 検討会資料 | 法定三要素(規則9条)以外の付加機能 |

規則9条の本文は次のとおりです(一般貨物自動車運送事業者等が対象。対象の車両は次の章の表2)[1]。
当該事業用自動車の瞬間速度、運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第9条(抜粋)
運行記録計を管理し、その記録を保存するのは運行管理者の業務です(規則20条1項10号)。9条の対象の車のうち、運行記録計で記録できないものを運行に使わないことも、運行管理者の業務です(同11号)[1]。運行管理者の試験については運行管理者試験の受け方と合格率にまとめています。
2014年の国土交通省の資料では、デジタル式運行記録計の優れた点として、正確な運転時間の把握が可能で集計機能により日報作成の負担が軽減されること、データ解析により効果的な運転指導が可能なことが挙げられています[6]。同じ資料には、アナログ式にもチャートを見るだけで大まかな運転時間を把握できるなどの面があると書かれています[6]。
デジタコ(運行記録計)が必要なトラックの条件
運行記録計による記録が義務になる車は、規則9条で決まっています。装着の義務は、2014年12月1日公布の改正で車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上から、7トン以上または4トン以上に広がりました[3]。
表2:運行記録計による記録が義務になる車と、関係する決まり(出典:規則9条[1]、道路運送車両の保安基準48条の2[2]、国土交通省[3][4])
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の事業者 | 一般貨物自動車運送事業者と特定貨物自動車運送事業者[1] |
| 対象の車① | 車両総重量が7トン以上または最大積載量が4トン以上の普通自動車である事業用自動車[1] |
| 対象の車② | ①に当たる被けん引自動車をけん引するけん引自動車である事業用自動車[1] |
| 対象の車③ | ①②のほか、特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車[1] |
| 記録の保存 | 1年間[1] |
| 7トン・4トンへの拡大の施行日 | 新車として購入し2015年4月1日以降に新規登録を受ける車両は2015年4月1日、その他の車両は2017年4月1日[3] |
| アナログかデジタルか | アナログ式・デジタル式のどちらの装着でも問題ないとされている[4] |
| 車両側の基準(保安基準) | 貨物の運送の用に供する普通自動車で車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のもの等に備え付け。24時間以上の継続した時間内の瞬間速度と2時刻間の走行距離を自動的に記録できるもの[2] |

※保安基準48条の2(車両に備える義務)は8トン・5トン以上、規則9条(運送事業者が記録する義務)は7トン・4トン以上で、基準の重さが違います[1][2]。
2014年に国土交通省がまとめた資料では、7トン以上8トン未満(最大積載量では4トン以上5トン未満に相当)の事業用トラックについて、死亡事故の発生率が8トン以上の大型車に次いで高いこと、長距離・長時間運転の割合が比較的高いことなどが、義務の対象を広げる理由として書かれています[6]。免許区分ごとに運転できる車は準中型と中型免許の違いにまとめています。
最近の動き:技術基準の改正と、荷待ち・荷役の記録
- 普及促進の方針:2023年6月2日の「物流革新に向けた政策パッケージ」に、デジタコの強力な普及促進が盛り込まれました。国土交通省は、将来的な義務づけも視野に入れた普及促進の方策を検討する検討会を設けています[4]。
- 技術基準の改正(2024年1月5日):速度データの取得は車速パルスのほかFMSコネクタ等も可能に、車内記録(1年分)はクラウドがあれば不要に(通信不成立に備え24時間分の車内記録は必要)、データ出力端子はWi-Fi等があれば不要になりました[4]。
- 荷待ち・荷役の業務記録(2025年4月1日〜):業務記録に荷待時間・荷役作業等を記録する義務の対象が、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の車両から全車両に広がりました。荷待時間は、荷主の都合で30分以上待機したときが記録の対象です。荷役作業等は、荷主との契約書に実施した荷役作業等が全て明記されている場合、要した時間の合計が1時間以上となったときが対象です[5]。
荷待ちや拘束時間の長さについてはトラック運転手のきつさでも扱っています。
応募前・入社前に会社へ確かめる4つのこと
表1のうち、付加機能や業務記録のつけ方は、法令からは会社ごとの使い方が分かりません。次の点は会社に聞いて確かめてください。
- 「乗る車のデジタコは、速度・距離・時間のほかに何を記録していますか」
- 「デジタコの記録は、運転の指導や評価に使っていますか。使う場合、どの項目を見ますか」
- 「業務記録(日報)は、デジタコの記録と手書きのどちらでつけますか。付記するのはどの項目ですか」
- 「荷待ちや荷役の時間は、どうやって記録していますか」
求人票の見方はトラックドライバーの求人の見方にまとめています。
よくある質問
Q1. デジタコの記録は何年保存されますか?
規則9条で、運行記録計による瞬間速度・運行距離・運行時間の記録は1年間保存することになっています。業務記録の保存も1年間です(規則8条1項)[1]。
Q2. 2トン車や4トン車にもデジタコは付いていますか?
規則9条の対象は、車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の普通自動車である事業用自動車などです[1]。これに当たらない車は9条の記録義務の対象外ですが、特別積合せ貨物運送の運行系統に配置する車は重さの条件とは別に対象です[1]。実際に付いているかは車ごとに確かめてください。
Q3. デジタコがあれば日報は書かなくてよいですか?
業務記録の事項は、運転者等ごとに記録させる代わりに運行記録計で記録することができます。ただし、運行記録計で記録されない事項は、運転者が運行記録計の記録に付記する必要があります(規則8条2項・17条6号)[1]。
Q4. アナログのタコグラフでもよいのですか?
国土交通省の検討会資料では、アナログ式(いわゆるアナタコ)とデジタル式(いわゆるデジタコ)のどちらの装着でも問題ないとされています[4]。
出典(公式情報)
- [1]e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」(平成二年運輸省令第二十二号)第2条の7・第8条・第9条・第17条・第20条 https://laws.e-gov.go.jp/law/402M50000800022(2026年10月17日閲覧)
- [2]e-Gov法令検索「道路運送車両の保安基準」第48条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800067(2026年10月17日閲覧)
- [3]国土交通省 報道発表資料「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令について」(平成26年12月1日) https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000186.html(2026年10月17日閲覧)
- [4]国土交通省「物流革新に向けたデジタル式運行記録計の普及促進に関する検討会について」(資料2)p.2〜p.5 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001725990.pdf(2026年10月17日閲覧)
- [5]国土交通省「令和7年4月1日から、全車両が記載対象になります」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001865382.pdf(2026年10月17日閲覧)
- [6]国土交通省「運行記録計の普及・義務化ロードマップ」(2014年3月26日)p.9・p.10 https://www.mlit.go.jp/common/001035645.pdf(2026年10月17日閲覧)
この記事を書いた人
もと:物流会社で22年、中間管理職を務めた元会社員。求人票の読み方や、手当・シフトの仕組みなど、現場を知る視点からドライバーの職場選びを解説しています。
乗る予定の車が表2の条件に当たるかを確かめ、デジタコの記録を会社がどう使っているかを聞いてみてください。
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