ドライバーの職場選び

観光バスと路線バスの運転手、どっちを選ぶ?正社員求人13件と公的データで違いを比べた

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観光バスにするか、路線バスにするか。給料も休みも違いそうなのに、比べられる数字がなかなか見つからずに迷っていませんか。

先に結論です。同じ求人サイトの正社員求人13件(観光6件・路線7件)を同じ手順で数えると、給与欄に書かれた月額の下限の中央値は観光27.5万円、路線19.6万円でした。宿泊勤務ありは観光6件中4件、路線は7件中0件。免許取得支援の記載は路線7件中6件と、観光(6件中4件)より多く見られました[1]。

ただし件数は小さく、全国の傾向とは言えません。この記事では13件の集計と厚生労働省・国土交通省の資料から、「どちらを選ぶか」を決めるための質問を4つにまとめます。

結論:観光は「下限給与と宿泊」、路線は「早朝・深夜のシフトと免許支援」で比べる

  1. 月額の下限:中央値は観光27.5万円、路線19.6万円。ただし範囲は観光19.8万〜35万円、路線17万〜35万円と重なっています[1]。
  2. 宿泊と勤務時間帯:観光は日中中心の勤務に宿泊運行が加わる形、路線は早朝から深夜の間でのシフトが目立ちました。宿泊勤務ありと判断できたのは観光4/6件、路線0/7件です[1]。
  3. 免許と支援:普通免許から応募できる求人は路線3件・観光2件。北海道の路線3件は、二種免許の費用を自治体が全額負担すると書いていました[1]。

国の統計(job tag)では、路線バス運転士と観光バス運転士の年収・労働時間はまったく同じ値です。どちらのページも同じ職業分類の統計を載せているためで、公的統計からは両者の差が読めません[2][3]。違いを知るには、求人票を同じ物差しで比べるしかない、というのがこの記事の出発点です。

正社員求人13件の集計:観光(貸切)と路線の条件を並べた

集計の元は、ドラEVERの「観光バス」一覧(掲載23件)と「路線バス」一覧(掲載27件)。掲載順に詳細ページを開き、正社員でバス運転が主業務の求人を、主な業務が観光・貸切なら観光、路線・乗合なら路線に分けました。主な業務が判断できない乗合・貸切の兼務、送迎、高速夜行の専業、回送、契約社員のみの求人は除いています。なお観光に分けた6件のうち2件は、路線バスや高速バスの乗務も一部にあると書いていました[1]。

目標は各10件でしたが、条件に合ったのは観光6件・路線7件でした。少ない件数の参考値として読んでください。

表1:観光(貸切)バスと路線バスの正社員求人の条件(観光n=6・路線n=7/取得日:2026年10月7日/出典:ドラEVER 観光バス・路線バスの求人一覧と各求人の詳細ページ[1])

項目観光(貸切)n=6路線 n=7
月額の下限の中央値27.5万円19.6万円
月額の下限の範囲19.8万〜35万円17万〜35万円
年間休日の中央値105日(n=5、1件は記載なし)101日(n=5、2件は日数の記載なし)
年間休日の範囲101〜120日79〜109日
宿泊勤務あり4/6件0/7件
宿泊手当の記載3/6件0/7件
勤務時間帯の例8:00〜17:00、8:30〜17:00など日中中心+宿泊運行5:00〜24:00の間、5:30〜21:30の間などでシフト
普通免許から応募可2/6件3/7件
免許取得支援・養成制度の記載4/6件6/7件
観光バスと路線バスの運転手の正社員求人13件、月額の下限の中央値の棒グラフ
図1:月額の下限の中央値(観光n=6・路線n=7、2026年10月7日取得)

※「月額の下限」は、各求人の給与欄に書かれた月額の最初の金額です(月給30万円のあとに括弧で26万円と諸手当の内訳を書いた求人は、最初の30万円を採用。観光の1件は月給ではなく総支給額の表記)。実際の月収ではありません。「宿泊勤務あり」の観光4件のうち3件は、宿泊運行の明記がなく、宿泊手当の記載からの判断です。路線の年間休日で日数の記載がない2件は、4週間で6日間という休日の表記でした。掲載日が2024年の求人(観光1件・路線2件)を含み、地域は北海道・新潟(各3件)に偏っています。求人の本文は転載していません。

月給の上限は記載のない求人が両方にあり、そろった比較ができないため表から外しました。下限の中央値だけを見ると観光が約8万円高く出ています。ただし路線7件のうち3件は普通免許から応募でき、二種免許の取得から始める求人で、月給の下限は18.775万〜19.6万円でした[1]。求人によって応募の入口(二種免許を持っているかどうか)が違うため、下限の差をそのまま給料の差とは読めません。

どちらを選ぶかを決める4つの質問

表1で差が出た項目を、自分に当てはめる質問に直しました。答えが「はい」に寄る方が、合う可能性の高い側です。

  1. 家を空ける日があっても大丈夫か:宿泊勤務ありは観光4/6件、路線0/7件でした[1]。家族の事情で毎日帰りたいなら、路線の方が条件に合いやすいと読めます。
  2. 早朝や深夜の出勤に耐えられるか:路線の求人には5:00〜24:00の間、5:30〜21:30の間でシフトを組む例がありました[1]。何時に始まり何時に終わるシフトが月に何回あるかは、求人票だけでは分かりません。
  3. 二種免許をまだ持っていないか:持っていないなら、普通免許から応募できる求人(路線3件・観光2件)と、取得支援の中身を確認します[1]。費用を誰が負担するか、途中で辞めたときの扱いは求人票では分からないことが多い項目です。
  4. 休みの数と季節の波、どちらを重く見るか:年間休日の中央値は観光105日・路線101日でした[1]。job tagの観光バス運転士のページには、繁忙期と閑散期の差がはっきりしている旨の記載があります[3]。

応募前には、この4点を求人ごとに書き出し、記載がない項目を面接で聞くと比べやすくなります。

公的データで見る「同じところ」と「違うところ」

表2:job tagの路線バス運転士・観光バス運転士の統計(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag[2][3]、2026年10月7日閲覧)

指標路線バス運転士観光バス運転士出典・年(job tagの表記)
賃金(年収)453.1万円453.1万円令和7年賃金構造基本統計調査
労働時間(月)168時間168時間令和7年賃金構造基本統計調査
年齢56歳56歳令和7年賃金構造基本統計調査
求人賃金(月額)23.9万円23.9万円令和7年度ハローワーク求人統計データ
有効求人倍率7.177.17令和7年度ハローワーク求人統計データ

※job tagの数値は、どちらのページも路線バス・貸切バスの運転手などを含む同じ職業分類に対応する統計です。路線と観光を分けた値ではありません[2][3]。

働く時間のルールも、基本は共通です。バス運転者には厚生労働省の改善基準告示(令和6年4月1日適用)があり、拘束時間や運転時間の上限が決まっています。違いが出るのは「例外」の部分で、貸切バスの乗務者などは労使協定によって上限を延ばせます[4]。

表3:バス運転者の改善基準告示の主な基準(令和6年4月1日適用/出典:厚生労働省「バス運転者の改善基準告示」[4])

項目原則例外(労使協定による延長)
拘束時間(1年)3,300時間以内3,400時間以内
拘束時間(1か月)281時間以内294時間以内(年6か月まで、281時間超は連続4か月まで)
拘束時間(4週平均1週間)65時間以内68時間以内(52週のうち24週まで、65時間超は連続16週まで)
拘束時間(1日)13時間以内(延長する場合の最大は15時間)―
休息期間「継続11時間与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない」―
運転時間2日平均で1日9時間、4週平均で1週40時間以内貸切バス等:52週の総運転時間2,080時間以内で、52週のうち16週まで4週平均1週44時間まで
連続運転時間4時間以内―
観光バスと路線バスの運転手に共通する改善基準告示の拘束時間・運転時間の表
図2:バス運転者の改善基準告示の主な基準(厚生労働省、2026年10月7日閲覧)

※拘束時間の例外の対象は、原文で「貸切バス乗務者、乗合バス乗務者(一時的需要に応じて運行されるもの)、高速バス乗務者等の場合、労使協定により延長可」とされています。休息期間の11時間は努力の基本、9時間は下回れない線です。1日の拘束時間が14時間を超える回数は週3回までが目安とされています[4]。表の「―」は、労使協定による延長の定めがない項目です。2人乗務や隔日勤務の場合の1日の拘束時間、休息期間の分割、高速道路の実車運行区間での連続運転時間などには、別に特例や定めがあります[4]。

貸切バスには、長い距離を走るときの交替運転者のルールもあります。国土交通省の資料では、夜間運行する貸切バスは、運転者1人の1日の運行距離が実車距離で400kmを超える場合に交替運転者が必要です[5]。ただし、事業者が特別な安全措置を講じて1人の乗務時間が10時間を超えないなど、一定の条件に当てはまる場合は、実車距離が500kmを超える場合に交替運転者が必要とされています[5]。昼間の運行の基準は、この資料には書かれておらず不明です。job tagの観光バス運転士のページにも、長時間・長距離の運転では交代運転手の配置が義務付けられている旨の記載があります[3]。

つまり観光(貸切)は、ルール上も長い拘束や長距離の運行が起こり得る仕事です。表1で宿泊勤務が観光側に集まっていたことと合わせて、「家を空ける日」と「季節の波」を受け入れられるかが分かれ目になります。

よくある質問

Q1. 観光バスの方が給料は高いのですか?

今回の13件では、月額の下限の中央値は観光27.5万円・路線19.6万円でした[1]。一方、国の統計(job tag)は両者を同じ職業分類で集計しており、年収はどちらも453.1万円です[2][3]。件数が小さいため、どちらが高いかは言い切れません。

Q2. 路線バスでも泊まりの勤務はありますか?

集計した路線7件に、宿泊勤務ありの記載はありませんでした[1]。ただし、5:00〜24:00の間でシフトを組むなど、早朝や深夜を含む勤務の例は見られます[1]。

Q3. 大型二種免許がなくても応募できますか?

普通免許から応募できる求人は、路線7件中3件、観光6件中2件です[1]。路線の3件は二種免許の費用を自治体が全額負担すると記載しています。取得までの期間や途中退職時の扱いは、面接で確認してください。

Q4. 観光バスは閑散期に収入が減りますか?

job tagには、観光バスは繁忙期と閑散期の差がはっきりしている旨の記載があります[3]。閑散期に月収がどう変わるかは、今回の求人データでは分からず不明です。応募先に、月ごとの乗務日数や手当の実績を聞いてください。

出典(公式情報)

この記事を書いた人

もと:物流会社で22年、中間管理職を務めた元会社員。求人票の読み方や、手当・シフトの仕組みなど、現場を知る視点からドライバーの職場選びを解説しています。

まずは表1と4つの質問で、自分が「観光向き」か「路線向き」かを決めてください。
→ 正社員求人13件の集計(表1)へ戻る

向きが決まったら、その側の求人だけを開いて、宿泊・シフト・免許支援の3点を見比べてください。
→ ドラEVER 観光バスの求人一覧
→ ドラEVER 路線バスの求人一覧

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