インタビュー

夫との死別を乗り越え…グリーフエデュケーターが”喪失と立ち直りの間で揺れる人”に伝えたいこと

この記事は、こんな人におすすめ!(読了目安:5分)

  • 辛いことばかり続いて、本当に立ち直れるかな?
  • 今やってることが正しいのか不安で仕方ない。
  • でも、やっぱり個人で生き抜く力をつけたい...!
もと
これまで一生懸命やってきたことを諦め、新しいことを始めるのは勇気のいる決断ですよね。辛い別れや挫折、失敗の経験から、なかなか立ち直れないという人も多いかもしれません。

そこで今回は、さまざまな苦労と経験をしながらも異国の地で女性起業家としてチャレンジしてきた “しのぶさん”にお話をお伺いしました!

しのぶさんは旦那様との死別をキッカケに日本には帰国せずハワイで2人の子どもを育てる!と決意し、さまざまな問題に向き合おうとするも苦難の連続……。それでも頑張り続けた結果、今では米国David Kessler認定グリーフエデュケーター×片付けのプロとして活躍しています!

・グリーフGrief(名詞) ・人が悲しみながらも進む様子をGrieving(現在進行形) ・グリービングしていく人のことをGriever と表現している

そんなしのぶさんに、ガッツリとインタビューしました!

3月にタイで行われたMs.Impact Worldファイナリストに選ばれたり、最近ではご結婚もするなど、現在は華やかに活躍するしのぶさん。ですがその変遷を知ると、想像を超える苦難や葛藤と戦いながら努力してきた方だとわかるでしょう!

最愛の夫と死別、…とにかく決断の連続だった

もと
しのぶさん、よろしくお願いします!では、簡単に自己紹介をお願いします!
はい!畔柳しのぶ(くろやなぎ)と申します。ハワイ在住13年目。米国David Kessler認定グリーフエデュケーター×片付けのプロとして、モノと事、心に寄り添っています。家族構成は最近結婚したので4人プラス2匹です。
しのぶさん
もと
ご結婚おめでとうございます!さっそくですが、なぜ現在の働き方に挑戦しようと思ったのか、きっかけとグリーフについて教えてください。
お空にいる夫と死別体験を経験したことがきっかけです。6月3日でちょうど丸6年になりますね。グリーフというのは変化です。一般的には死別=グリーフと考えている方が多いのですが、実際は生活の中に変化が起きたときのエネルギーのことで、変化って良い変化と悪い変化があって悲しい部分にフォーカスしているのがグリーフケアと言ってます。
しのぶさん
例えば、昇進で異動が決まった時もグリーフです。その変化によってポカンと心に穴があいた感覚がグリーフですね。
しのぶさん
もと
あの…失礼を承知で伺うのですが、「日本へ帰ろう」とは思わなかったのですか?
0%!!まったく考えなかったです。
しのぶさん
もと
0%!?詳しく教えてください!
理由は子ども達のこと。子ども達が5歳と2歳の頃からハワイに住んでいるのでお父さんが亡くなり、学校も変わりお友達とも離れ暮らしている環境も変わるなんてことは選択肢の中になかったですね
しのぶさん
もと
なるほど。「ご家族の日常を守ること」を重視した決断だったんですね。

自分自身の気持ちを考えていなかったことに気付いた

もと
しのぶさんご自身は、グリーフに対してどのような印象を持たれていたのでしょうか?
グリーフって知らなかったです。グリーフという言葉を聞いたのは本当にその時。夫が亡くなってからです。
しのぶさん
もと
なるほど。そこからすぐに学んでみようと思ったんですか?
学んでみたいと思ったのは最近なんです。当時はグリーフってなんだろう?って考える余裕もなくて、とにかく一生懸命走っていくんだ!みたいな感じでした。
しのぶさん
アメリカ人のお友達からは「グリーピングの仕方は人それぞれだからね!」なんて言われていたんだけど、それでも私は仕事やビザの心配があったのでグリーフを気にする余裕もなかったです
しのぶさん
もと
目の前のことで精一杯ですよね...
そうなんです。子ども2人を育てていかなくてはいけないので、どうにかしなくては!と思って必死でした。
しのぶさん
もと
そこから数年経った今、なぜグリーフを学ぶようになったのでしょうか?
近所でグリーフの集まりというのがあって何度も行っていたんです。その帰り道に長女へ向かってすごくヒドい言葉を言ったことがきっかけですね。
しのぶさん
もと
どんなことを?
「私は、久々にこの会に参加しても何も思わなかった。ぶっちゃけ私はグリーピングなんてしてる暇ないんだよ!」って。その時に長女が悲しい顔したんですよ。
しのぶさん
もと
お嬢様にとってグリーフは必要だったのですね。
はい。長女の顔を見たときに私は「しまった!私って父ちゃんの死を軽く扱ってるのかな?」って思って、その時にプライベートなこと何も考えてなかったことに気づいたんです
しのぶさん
もと
しのぶさんはワイキキにロミロミサロンを経営してたりと走り続けてましたからね。どんな所でグリーフを学んだのですか?
オンラインです。デヴィッド・ケスラーというアメリカの大御所が主催しているグリーフエデュケーションという言葉がやたらと目につくようになり講座を受けて学びました。
しのぶさん

助けてもらうのが嫌だった

もと
グリーフという活動を通じて、自分自身の成長や発見があったと感じる点はありますか?
誰かを助けられる自分がいることが嬉しくて、色んなことへ感謝する気持ちが増えたことかな。じつは傷ついている人がたくさんいて、自分が助けられている分、助けてあげたいって思うようになりましたね。
しのぶさん
もと
同じような辛い経験をしている方にとってしのぶさんは大きな存在ですね。
今思えばですが...助けてもらうのが嫌だったんでしょうね。私は器用で何でも卒なくこなして生きてきたんだけどグリーフ体験をしたことでガクッと大きな穴に落ちちゃった感覚でしたね。
しのぶさん
もと
それだけ、精神的にも追い詰められていたということですね。
はい。その時に色んな人に助けてもらうことによってどんな辛いことがあってもちゃんと元の位置に戻って来れるし、さらに一歩すすむことだって出来る!ということを知りました。
しのぶさん
もと
人に助けられたからこそ、手を差し伸べる大切さに気づいたんですね
はい。今ではクライアントさんへ「どんな出発点に立っていても人はもう一回一歩踏み出すことができる」と伝えてます。
しのぶさん
海外で外国人として暮らす人間がパートナーを亡くして「職なし、ビザなし、信用ゼロ」ですから、それでも道は開けるんですから。
しのぶさん

ストリートスマートという生き方

もと
しのぶさんは実体験を通じて学び続けられる人ですよね。
ちょうど先日、言語化してくれた友人がいて、英語で「ブックスマート」「ストリートスマート」という言葉があるんですけど、私はストリートスマートって言われたんですよね。
しのぶさん
もと
具体的にはどういうことですか? 
簡単に言うと、ブックスマートというのはものすごく勉強して良い大学も出て資格もたくさん持っていて優秀な人で、ストリートスマートな人は「実体験を通じて知識や知恵を身につけていく人たち」のことで、私はストリートスマートの典型だと思う。
しのぶさん
もと
いろんなことに挑戦していろんな市場を見てきたからこそ、自然と生き抜く力みたいのが養われていたのかもしれませんね。
グリーフを勉強して気づいたけど、振り返ると小学生の時にイジメにあったり、親が離婚したり、谷に落ちるようなグリーフ体験を常にしてきてたんです。でも、その時に自分が持ってるカードで戦ってたんですよね。知らず知らずに。
しのぶさん
もと
しのぶさんを始めとした、現代の代表的な起業家は例外なくこのストリートスマートだと言えますね。

片付け×グリーフという可能性

もと
グリーフの大切さは理解したのですが、片づけがどうしてそこまで人生に影響を与えるのですか? 
子どもの頃、掃除や片付けは嫌いでした。でも、物を集めるのはすごく好きだったんです。コレクターなので日本からハワイに引っ越してきた時はとても大変で段ボール44箱まで減らしました。時間もお金も労力もかかりすごく大変だったのを覚えてます。でも物がなくても何でも出来るじゃん!って思ったんです。
しのぶさん
つまり、片付けというのは目の前にある選択肢から自分に一番必要な選択をする。小さな成功体験の積み重ねで、これって人生も同じだなって、しかも再現性も高くみんなができる!というのが最初ですね。
しのぶさん
もと
片付けを通じて心や人生をより良くしていく、といった理解であってますか?
今はそう!でも、夫が亡くなるまでは暮らしの快適さだけで考えていたので、片付けをお手伝いしていても気持ちに寄り添えなかったんです。
しのぶさん

片付けが目的の鬼軍曹時代

もと
ひたすら片付けろ!みたいな(笑)?
そうそう!「本当に片付けたいんですよね?それ要りますか?」って(笑)鬼軍曹です。
しのぶさん
そこにはクライアントが手放せない気持ちが何となくわかっていても「片付けして楽になりたいんですよね?」という感じでしたが、グリーフを学び片付けと掛け合わせたことですごく変わりました。
しのぶさん
もと
どう変わりました?
その人達の繊細な気持ちに寄り添えるようになったらクライアントも変わったし、何より私自身の向き合い方が変わりました。
しのぶさん
もと
なるほど。
前までは終わらせたかったんですよ。早く片付けして帰ろう!みたいな。でも、今はクライアントの気持ちに寄り添うことだけを考えていて、その結果クライアント自身が自分で片付けるようになったんですよ。
しのぶさん
もと
なるほど!自分自身と向き合ってもらい小さな成功体験をし、前に進めるようにするのですね

モノ・心だけではなく”コト”を振り返る

もと
グリーフと片付け、そして人生において、これからやりたいことは何ですか?
片付けのことも知ってもらいたいし、グリーフのことも知ってもらいたいけど、その結果として今から出会う人たちがもっと幸せになれるようなサポートをしたいですね。グリーフや片付けはあくまで手段!
しのぶさん
もと
その活動が今準備しているサービスですね!
はい。結局、モノ・心だけではなく”コト”を振り返ることが、大事です。自分の人生に起きた”コト”でしか人生は変わっていかないから、きちんと振り返ってみるということはとても大事なんです。
しのぶさん
もと
では、最後にしのぶさんと同じように、喪失体験の悩みや新しい挑戦に対して一歩を踏み出せなくてはいけない状況の方はたくさんいるはずです。そんな「未来」への不安を持つ方へメッセージをお願いできますか?
「あなたは大丈夫」ということですね。何か変えたいと思っているのに自分はダメだと思っているなら「あなたは大丈夫、あなたは変えられる!」ってことですね。
しのぶさん
もと
今日はありがとうございました!

いろいろ楽しむことが未来に影響を与える

多くの苦労をしてきた、しのぶさん。

「なぜ、壮絶な過去を経験しても、しのぶさんの描く未来はポジティブなのですか?」とお伺いすると、「自分でかわいそうだとは思ったことがなくて、やっぱり楽しくいたいじゃない。大好きな人といたいし」とのこと。そう話す姿に、芯の強さを感じさせられました。

いつ何が起きるかなんて誰もわからない。でも、家族や友人を思いやり、その人たちから愛されるしのぶさんに乗り越えられない逆境はないのかもしれません。

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インタビュイー:畔柳しのぶさん(@shinobu_doglover)
インタビュアー:中村もと(@moto_writing28)
ライター:中村もと(@moto_writing28)

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